ケララ州の教育の現状

今回ご紹介する写真は、毎月実施している教育支援の一環として、子どもたちへ学用品や生活物資を配布した際の様子です。
掲載が少し遅くなってしまいましたが、現地の様子とあわせてご報告いたします。

インドでは各地でモンスーン(雨季)が始まりました。
ケララ州では、このモンスーンの訪れとともに新学期がスタートします。
そのため、この時期の支援では、食料や生活用品に加え、ノートや文房具などの学用品も大切な支援物資となります。

当日のミーティング中には、激しい雨と雷に見舞われ、その後には停電も発生しました。
モンスーン中には、このような天候や停電は決して珍しいことではなく、日常の一コマです。
SEEDS-INDIAでは、支援対象となっている子どもたち全員が新学期も継続して学校へ通えていること、そして学用品や食料が十分に行き渡っていることを確認しました。

一方で、雨季は建設業や日雇い労働などの仕事が減少し、収入が不安定になる家庭が少なくありません。
そのため、子どもの教育費や学用品を準備することが難しくなる家庭も多く、この時期の支援は子どもたちが安心して学び続けるために欠かせないものとなっています。















最近のニュースで、ケララ州の教育の現状について書かれた記事があったのでまとめておきたいと思います。
日本でも直面している課題だと思います。

ケララ州はインド南西部に位置しますが、国内でも識字率が最も高く、「教育先進州」として知られています。
公立学校の教育水準も高く、多くの家庭が安心して子どもを通わせることができる環境が整っています。
その一方で、近年は州内の労働力不足を補うため、ビハール州、西ベンガル州、オディシャ州、アッサム州などから多くの出稼ぎ労働者が流入しており、その子どもたちの教育支援が大きな社会課題となっています。

『The Hindu』が報じた教育局のデータですが、2024~2025年度にケララ州の州立カリキュラム校を離れた児童・生徒は2,914人に上ったとありました。
この中には、州外から働きに来た出稼ぎ労働者の子どもが多く含まれており、教育の継続がいかに難しい状況に置かれているかが浮き彫りになっています。


「学校を離れた」という数字だけを見ると、教育そのものを諦めたような印象を受けますが、実際には事情はもう少し複雑です。
退学や転校の主な理由は、学校への不満ではなく、保護者の就労環境にあります。
建設業や製造業などで働く出稼ぎ労働者は、工事の終了や契約満了、新たな仕事への転職などに伴い、州内外を頻繁に移動します。
そのため、子どもたちもやむを得ず学校を転校したり、故郷へ戻ったりするケースが少なくありません。
また、一部の家庭では、より全国共通の教育課程であるCBSE校などへ転校する場合もあり、「州立学校を離れた」という統計が必ずしも「教育を受けなくなった」ことを意味するわけではないようです。

それでも、多くの子どもたちが教育の継続に困難を抱えていることは事実です。
出身地によって母語が異なるため、授業で使われるマラヤラム語や英語に十分対応できず、学習についていけないことがあります。
また、保護者の収入が不安定であることや、転居を繰り返す生活環境も、子どもたちの学習機会を途切れさせる大きな要因となっています。

こうした課題に対し、ケララ州政府は全国でも先進的な取り組みを進めています。
出稼ぎ労働者の子どもを積極的に公立学校へ受け入れ、多言語教材の整備や、ヒンディー語などを話せる教員による学習支援、マラヤラム語習得のための特別教材の提供、無料の教科書・制服・学用品の支給など、教育を継続するためのさまざまな支援制度を実施しています。
教育現場では、それぞれの子どもの言語や文化的背景に配慮した指導も行われているようです。

しかし、教育制度が充実していても、家庭の生活基盤が不安定であれば、学校だけで問題を解決することはできません。
仕事を求めて移動を続ける家族にとって、子どもが一つの学校で継続して学ぶことは容易ではなく、学習の遅れや学校生活への適応の難しさにつながることもあります。
教育支援は、子ども一人ひとりの将来を守るだけでなく、家族全体を支える重要な役割を担っています。

SEEDS-INDIAでは、教育支援を活動の柱の一つとして取り組んでいます。
学校へ通う機会を確保することはもちろん、学習環境の整備や生活面でのサポートを通じて、子どもたちが将来への希望を持ち、自立した人生を歩めるよう支援を続けています。

今回のニュースは、ケララ州の教育制度の問題を指摘するものではなく、「働く親の不安定な生活が、子どもの教育にどのような影響を与えているのか」を社会全体で考える必要があることが示されているように思います。
子どもたちが安心して学び続けられる環境を整えることは、より良い社会を広げるために欠かせないものであり、今後も継続的な取り組みが求められていることがわかります。

SEEDS-INDIAでは、子どもたちの教育支援に加え、出稼ぎ労働者への支援も行っています。
引き続き、社会の情報を注視しながら、必要な活動を継続してまいります。