オーナムと農作物と生活への影響

前回、今年のケララではモンスーン全体としては雨が少ない一方で、8月初旬には短期間に非常に激しい雨が降り、洪水や土砂崩れが発生したことをお伝えしました。

現在、洪水の水はすでに引き、避難していた方々もそれぞれの自宅へ戻ることができたそうです。
しかし、暮らしが元通りになったわけではなく、状況は今も決して良いとはいえないといいます。
さらに天気予報では、今後また大雨となる可能性も伝えられており、再び厳しい状況になることも心配されています。
今回の洪水では、被災した方々への物資の配布など、さまざまな支援活動を行ってきましたが、再び緊急事態が発生した場合にすぐ動けるよう、現在も支援体制を整えているようです。

洪水の水が引いたことで、ひとまず大きな危機は過ぎたように見えます。
でも、再び雨が強まれば状況が変わる可能性もあります。
まだ雨季は続くので、これからが穏やかに巡るように願うばかりです。

実は、8月26日にケララで一番大きなお祭りであるオーナムが祝われました。
これについて、天候と関連する記事があったのでまとめておきたいと思います。

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今年は、雨が少ない時期が長く続いたあとに、突然大量の雨が降る。
そうした不安定な雨の降り方が、人々の暮らしに多くの影響を与えています。

その影響は、ケララのもっとも大切なお祭りのひとつである「オーナム」にも現れています。
オーナムはケララを代表する収穫祭で、今年は8月16日から10日間にわたって祝われ、8月26日が一番大きなお祝いの日でした。
この間、家族が集まり、花を飾り、豊かな実りを感謝しながら過ごします。

なかでも欠かすことができないのが、「オーナムサディヤ」と呼ばれる祝宴です。
バナナの葉の上に、ご飯をはじめ、さまざまな野菜や豆、ココナッツなどを使った料理を並べ、家族や親しい人たちといただきます。
本来であれば、モンスーンの終わりに収穫される米や野菜、芋類、バナナなどが豊富に市場へ並ぶ季節でもあります。
しかし、今年は少し様子が違ったようです。

今年のケララでは6月1日から8月15日までのモンスーンによる降水量が、平年より23%少なくなりました。
7月には雨の少ない状態が続いたため、野菜の発芽や開花、成長が遅れた地域がありました。
オーナムの時期に収穫できるよう、6月からキュウリやカボチャ、オクラなどを育てていた農家の中には、作物が十分に成熟せず、収穫がオーナムの後になってしまうという人もいるようです。

そして、雨不足のあとにやってきたのが、8月初旬の激しい雨でした。
短期間の豪雨と洪水によって、水田やバナナ畑などにも大きな被害が出ました。
8月9日時点の調査では、ケララ州内で45,904人の農家が豪雨や洪水の影響を受け、農業への被害は約12.7億ルピーにのぼると推計されているようです。

特に、オーナムには欠かせないバナナへの影響が大きいとされています。
昨年のオーナムには一日に約11トンのバナナを集荷していたのに対し、今年は一日1トンほどしか集まらなかったと伝えられていました。
州内で不足した農産物を補うため、米やバナナなどをタミルナードゥ州やアーンドラ・プラデーシュ州などから仕入れる量も増えています。
その影響もあり、野菜や米、バナナなどの価格が上昇しています。

毎年、自分で育てた野菜を使って20種類以上の料理を作っていた女性が、今年初めてレストランで出来合いのオーナサディヤを購入したという話も紹介されていました。
天候の変化が、こうして家庭のオーナムの過ごし方まで変えています。

また、オーナムでは「プーカラム」と呼ばれる花の飾りを家の入口などに作ります。
伝説の王マハーバリを迎えるため、色とりどりの花びらを使って美しい模様を描くものです。
今年は花も豪雨の影響を受け、マリーゴールドなどの価格が上昇しました。

しかし、別の現地報道では、野菜については比較的良い収穫を得られている地域も伝えられています。
ケララ全体が同じ状況にあるというわけではありません。

それでも、今年のオーナムから見えてくるのは、雨の「量」だけでなく、「降り方」が人々の暮らしにとても大きく関わっているということなのだと思います。
農家の方々は、長年の経験をもとに、いつ種をまき、いつ収穫するかを決めてきました。
しかし、雨が降るはずの時期に降らず、そのあと短期間に大量の雨が降るようになると、これまで受け継がれてきた農業の暦も合わせにくくなります。

こうした天候の変化は、農作物だけでなく、人々の生活にさまざまな形で影響を及ぼしています。
特に、山岳地帯など厳しい環境の中で暮らす人々にとっては、もともとの生活の難しさに天候の不安定さが重なることもあります。

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今日掲載する写真は、SEEDS-INDIAが継続して行っている、山岳地帯に暮らす先住民族の方々への支援の様子です。
大きな洪水などが発生した時には、どうしても緊急支援に目が向きます。
しかしSEEDS-INDIAでは、災害が起きている時だけではなく、日頃から支援を必要としている地域を訪れ、食料や生活に必要なものを届ける活動を続けています。
大きな災害への対応とともに、こうした日々の暮らしを支える活動を途切れさせずに続けていくことも、SEEDS-INDIAが大切にしている支援のひとつです。














天候や社会の状況が変わっても、そこで暮らす人たちの日々は続いていきます。
先住民族の方々をはじめ、さまざまな困難の中で暮らしている人たちが安心して日々を過ごせるよう、これからもSEEDS-INDIAの活動を見守りながら、できる支援を続けていきたいと思います。

いつも活動を温かく見守り、支えてくださっている皆さまに、心より感謝申し上げます。
ケララだけでなく、日本各地でも豪雨や地震などの災害が続き、ネパールでも大きな被害が伝えられています。
自然の力の大きさを前にすると、できることの小ささを感じることもあります。

それでも、離れた場所に暮らす誰かの無事を願い、困っている人のためにできることを少しずつ続けていくことには、きっと意味があるのだと思います。
日本でも、ケララでも、ネパールでも、そして世界のどこにおいても、これ以上大きな被害が起こることなく、自然が穏やかで、人々が安心して日々を過ごせますように。

被害に遭われた方々が一日も早く穏やかな暮らしを取り戻し、すべての人々が安全に過ごせることを心より願っています。